黒坂黒太郎 (正文) さん (左は妻でシンガーの周美さん)
安心して、力まずに演奏できるのがふるさと上田
上田市出身の音楽家で、コカリナ(木製のオカリナ)の普及に力を入れる黒坂黒太郎(本名・正文)さんが、音楽家50周年を記念したコンサートを16日(月・祝)に同市天神3のサントミューゼ大ホールで開きます。コンサートには県内のコカリナ愛好家が組織する「しなのコカリナアンサンブル」の180人も参加。黒坂さんがこれまでに作ってきた曲を演奏します。
黒坂さんは上田高校から早稲田大学に進学。在学中から作曲活動をはじめ、卒業後はプロとしてキングレコードからデビュー。しばらくして商業的な音楽に違和感を持ち、悩んでいるときに、民俗学者の宮本常一さんの思想に触れて感銘を受けたといいます。
「文化は地域にこそある。それぞれの地域を励まし、すばらしさを伝えるような活動をしなくてはいけない」という宮本さんの考えがその後の活動の根幹となり、全国各地を歩いて、約3700回のコンサートを開催してきました。
「コカリナ」に出合ったのは、45歳の時。1995(平成7年)に阪神大震災が発生し、自身も同じ頃、肉親との別れがあって心が打ちのめされていました。そんな気持ちを静めてくれたのが、友人がハンガリーから持ち帰った小さな木の笛「コカリナ」の音色でした。
「日本の職人さんならもっといいコカリナが作れる」との思いから試行錯誤を重ね、現在のコカリナを作り上げ、多くの愛好家を育てています。
コカリナを演奏するときの「黒太郎」の名は「あこがれの太郎山からいただいた名前」と愛着を持ち、その地でのコンサートは安堵できる、と楽しみにしています。
コンサートには妻の矢口周美さんがシンガーとして、また上田高校吹奏楽団の後輩でプロ打楽器奏者の窪田健志さんらも出演します。
チケットはサントミューゼ(☎0268・27・2000)へ。
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