バイオリニスト・中澤きみ子さん(74歳 上田市出身)
年齢を重ねたからこそ表現できる音楽を
上田市出身で、国内外で活発な演奏活動を展開する、バイオリニストの中澤きみ子さんは、自身の演奏活動半世紀を記念したコンサートを12月1日午後2時、上田市の丸子文化会館セレスホールで開きます。「この年齢だからこそ表現できることがある」と話し、多くの人に感謝を込めて、故郷での節目の舞台に臨みます。
中澤さんは父親の強い意向で、5歳から習い始め、小学校6年生から高校生まではレッスンのたびに教室のある松本市まで通いました。音楽大学は金銭的に難しく、高校の先生から「特設の音楽科がある新潟大学はどうか」と勧められて進学。
卒業後、モーツァルテウム音楽大学(オーストリア)のセミナーに参加したのが、演奏家への道を進むきっかけに。音楽大学の学生ばかりの中、ソロの奏者に選ばれて、世界トップクラスの演奏家が集まることで有名な音楽祭「ザルツブルク音楽祭」で演奏することができ、イタリア人の先生からも高く評価されました。
帰国して、本格的なバイオリニストの道へ。東京の古典音楽協会で、ソリストに抜擢され、多くのバロックの協奏曲を弾いたことが、今でも力になっています。
結婚、出産を経た後もウィーンを中心に国際的に活躍。地元への貢献を忘れず、信州国際音楽村(上田市生田)の開村に尽力したり、祖父の家の跡地に建てた中澤ホール(同市中央)で、定期的に地元の演奏家とアンサンブルコンサートを開いたりしています。
指導者としても国際的なコンクールで優勝する人材を育てているほか、東日本大震災の後は、津波で押し流された流木を材料に、夫の宗幸さん制作の「TSUNAMIバイオリン」を多くの人に演奏してもらう活動もライフワークとして続けています。公開中の映画「シンペイ」にも、バイオリンの先生役で出演しています。
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